TWIGY/Seven Dimensions

●今回のアルバムの一番大きい面はトラックをほぼ全て自分で作ったところにあると思うんですが、トラックはシングルの「七日間」から作り始めたんですよね?

Twigy(以下T):「七日間」はアルバムとは関係なく、ただ俺の曲を作りたいっていうのがあって、それで作ったもので。この時は結構大変だったね。ピアノのメロディーは元ネタがあって、最初はそれをループしてたんだけど、レコーディングの最終日に「やっぱり駄目」って思って、歌入れをした後に、全部手で弾き直して。一日で七日間分くらいの力を使う作り方をしてたから(笑)。それ以降はペース配分とかも判るようになったけど。

●それ以前にトラックは作ってんですか?

T:いや、何もやってなかった。ピアノをちっちゃい時にやってたくらいで。

●けど、トラックを作ってみたいという願望はあったわけですか?

T:やってみたいというよりも、世の中に流れ出ているものを変えてみたいというのはあったけどね。自分のラップならば、自分のトラックでやったほうが、全部その人から出ているわけで。言い訳は出来ないし、良さも認めるべきだし。その時点で両極端にリスクを背負うことになるんだけど。

●トラックを作るには、まず機材の使い方を覚えたりするのが大変そうですよね。

T:機材というより、俺は手弾き専門だから。レコードからのサンプリングは使わなくて、弾いたのを取り込んでやってる。

●マニピュレーターとかいるわけですか?

T:アル・スクリプトっていう人がいて。「七日間」から付き合ってもらってる。

●いわゆるチキチキなトラックとかありますけど、ああいうのに影響はされましたか?

T:影響というか、俺はああいうビートでもやりたいし、出来るし。そういうのが好きだし、それについてチキってるとも思わないしね。昔から、南部のほうではある音だし。日本でもそういう音を作る人はいないしね。

●ああいう音をツイギーがやったことに、びっくりしたんだけど。

T:何でもそうだけど、イメージは怖いからね。俺の中でもいろんなイメージがあるから、そのイメージを一個にしたアルバムだね。

●当たり前だろうけど、前作より今回のほうがより自分のイメージなわけですよね?

T:うん。俺にとってはファースト・アルバムみたいなもんだね。そういうことを言うと、問題かもしれないけど(笑)。

●収録曲のうち「Go Nippon」でのツイギーのラップはかなり激しいですね。

T:トリッキーな乗せ方をしてるね。こうのは基本的に好きだから。本当は全部こういうのにしようと思ったけど、(リスナーが)追い付いていけないと思って。だから、普通の遅いトラックとも入れて作ったんだけど。

●「夜行列車」をやったのは?

T:いろんなところで″「夜行列車」が良い″っていうのをツアーとかで聞いて…。当時(オリジナルは92年にV.I.P.のコンピレーション盤『V.I.P Hits 2』に収録されたもの)、7インチも出てなかったから、出そうと思って。だったら、新しいミックスで、ボーイ・ケンも一緒に。

●このトラックはV.I.P.が作ってますが、アルバム全体にも馴染んでますよね。

T:結構、V.I.P.のホリグチ君とは音のツボが似てるからね。

●「希少情報」はアフリカ・バンバータによるミックスですね。

T:これは向こう(NY)に行って、地下の奥のほうのプライベート・スタジオでやって。そこで唄って。バンバータもキックして。

●そのレコーディングの現場の雰囲気は?

T:かなり異様なテンションだったよ。宇宙フロウを持つ男達が沢山ひしめいているから大変だよ、ズールー・ネーションは。

●バンバータはどういう人でした?

T:暖かいし、未知だね。いろいろな事を見てきた目をしている。凄く良い目をしていて…意味があるね。この曲でアルバムの最後がキュッと締まった感じがする。

●サンプリングよりも、単純にビートだけのほうが合いやすかったりするんですかね?

T:元々、そういうアルバムにしようと思ってたんだけどね。ベースとドラムと、「ピュン!ピュン!」だけくらいのキーボードと。結構、それに近い仕上がりになってるけど、まだ俺にとっては(音が)入り過ぎているし、もっとタイトにやってもカッコ良いと思うし。裏バージョン出しても良いし(笑)。俺は止まらないわけさ。自分の出来ることをやらずに、同じようなことをやっている自分がいてはいけないと思うんだ。俺達は常に進化していっている。だから、それに気付いたころには既に遅いと思う。

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