───ヒップホップとの出会いは？
KREVA(以下K)：「中学生のときにボビー・ブラウンの「Every Little Step」のビデオ・クリップを観て、カッコイイなって思って。それからダンス、DJ、ラップっていう順番」
LITTLE(以下L)：「中学の頃、スチャダラ、高木 完、ランキン・タクシーとかがすでにCDを出していて、日本語ラップを自然と聴いていました」
MCU(以下M)：「オレはPUBLIC ENEMYが1stか2ndを出した頃、ちょうどテレビでビデオ・クリップ流れていたんだけど、それを観てすごくカッコイイなと思って。あとRUN DMCの「Walk This Way」にもブチのめされましたね」
───3人でやるようになったきっかけは？
K：「あるコンピで一緒に曲を作ったんだけど、それが「カンケリ」だったんですよ。周りも手放しで誉めてくれて“カンケリな人たち”ってことでKICK THE CAN CREWになったんです」
───この前インディーズ時代のベスト『GREATST HITS』を出しましたけど、今の時期に出した理由は？
K：「ウチらのホームページのBBS見ても“「イツナウロバ」で知りました”とか、ライヴとか来てるのに「イツナウロバ」しか持っていないフトドキ者がいたりするので戒めというか(笑)。ま、冗談だけど半分は本気で、ライヴをやるとき「イツナウロバ」だけで盛り上がられても困るので、どうせだったら全部知ってて歌えた方が楽しいから、オレらがライヴでよくやる曲と、コンピにしか入っていなくて入手困難な曲を選択基準にしました。このアルバムとメジャーで出したシングルを聴いてもらえればライヴはすごく楽しくなると思って」
───新曲「クリスマス・イブ Rap」は、山下達郎さんの曲をサンプリングしていますが、この曲を取り上げた理由は？
K：「以前、一回作ったことがあってそれは“フーン”って感じで(笑)、そのままにしてあったんだけど、今回やらない？ って言われたんで挑戦してみようようかなと。達郎さんにも会えたし、それも大きかった。すごく緊張したよな。韻の話とかされてな」
L：「オレも判んないような話をしてた」
K：「英語の韻とか、サラサラと韻を踏まれてタジろいじゃいましけど(笑)。で、達郎さんが言うには、昔から日本語でラップをやるのって無理だと思ってて、いろんなラップを聴いて言葉の乗せ方とかそんなに良いと感じなかったらしいんですよ。だけど、オレらのはすごく良かったって誉めてくれて。もう、出されたお茶が20秒ぐらいでなくなっちゃいましたね」
───原曲はみなさんどのように感じていました？
K：「オレは曲というか“シンデレラ・エクスプレス”のCMが印象的で、良い歌だなと」
M：「定番中の定番なんで、意識して聴くというよりも、無意識のうちに入っていたから」
L：「オレもJRのCMですね。恋愛に多感というか未熟な中学生の頃だったんで、聴くと切ないですよ(笑)」
K：「じゃあ、今は熟しているんだ」
L：「ま、熟しちゃってさ、すごいドス黒いけど(笑)。オレのピュアな想い出がいっぱい詰まっているんだよ」
───どんな世界観を出そうと思っていました？
K：「世界は小さいですね(笑)。みんな盛り上がってて、本当は楽しんだろうけどその中に上手く入っていけない自分とかを感じているので、その気持ちを出せればなと」
M：「イメージは男だらけのパーティーって感じで。実際は、周りに乗せられてチキン食べたり、教会に行ってミサを聴いたりして、クリスマスを楽しみたい方なんだけどね(笑)」
L：「クリスマスのいろいろなストーリーの中でかかっている曲だし、世紀が変わっても定番であり続ける曲だとも思うんで、原曲へのリスペクトがありましたね。想いと曲が一緒にあるっていうか。あと、JR(笑)。電車もいっぱい出てくるし」
───確かに原曲も世界観はすごく寂しいですもんね。
K：「本当メチャメチャ寂しい歌ですよ」
L：「待ち合わせしているところでひとりで待ってるみたいな。あ、それはJRか(笑)」
───アルバムは来年になるようですが…。
K：「カッコイイものしたいですね。ただ、今LITLLEがソロ・アルバム作っているんで、まだ進んでいないけど」
L：「止めてるってわけじゃないけど(笑)、一応締め切りを守ってやる予定なんですけど(笑)」
K：「今までのシングルが4〜5曲入るわけじゃないですか。で、あとの5曲を入れただけで“アルバム”ってオレは言いたくないし、もし、オレが好きなミュージシャンがそういうアルバムを出すんだったら絶対買わない。だからシングルに負けないような10曲を入れれば、全編ヘヴィーで質の良いアルバムになると思うんですよ」
L：「音楽のアイテムとしてやっぱりアルバムの方が好きなんですよね。だから、アルバムでしか見られないものが出てくるんだろうし、逆に良いアルバムができないアーティストはキツいよね」
K：「その分、自分らはツラいけど(笑)。でもそれで言葉が出てこなくなっちゃったら、早いうちに出し切ってやめちゃった方がいいと思っているんですよ。できる自信はあるけど」
M：「アルバム用に作るという意識じゃなくて、どれを出してもシングルとして通 用するものにしたいですね。何曲かKREVAのトラックを聴かせてもらったけど、カッコイイものになるんじゃないかな」
───将来の野望というか目標は？
K：「一番になりたいですね。それは中途半端から脱出したいってことなんだけど」
L：「そうだね。それはみんな共通 だよね」
K：「後は長くやること。“この曲が良い”って言われた曲ばかりを出していくっていうのもひとつの方向だと思うんだけど、それより3人でできることをいろいろ探してやっていきたいな。それからワーナーの入口にオレらの看板をつけたいな(笑)」