ZEEBRA/1/31(水)インタビューfromマキシマム

中村道生(以下N)「ZEEBRAで〜す! さっそく今日は、いろいろと聞いていきたいと思います」

ZEEBRA「はい」

N「発売されたばかりの、映画[BROTHER]にインスパイアされて作ったという曲。タイトルをお願いします」

ZEEBRA「ZEEBRA featuring AKTIONで、「Neva Enuff」」

N「「Neva Enuff」ね。単刀直入に聞きますけど、インスパイアされて作った曲というのは、もとからCD作ることになってたの?」

ZEEBRA「いや、そういうわけじゃなくて。もちろん俺としては、初めから映画の設定とか、誰が出るとか聞かされてたんで、ぜひ絡みたいとは思ってたんすけどね」

N「こっちとしてはね?」

ZEEBRA「そうそう。だけど、映画ってそういう段階では、ほとんど出来上がってるしということで、“ま、とりあえず観てみようか”と」

N「なるほど」

ZEEBRA「で、行ってみたら、考えた以上にガーっと入っちゃったんで、“これはちょっと作らして”みたいな」

N「これはもう、作らんと?」

ZEEBRA「これだけB-BOYにアピールする映画も、そんなに無いと思うし。それをたけしさんが、このタイミングで、これだけデカイ規模でやってるっていうことは、やっぱりひとつのタイミングとしてチャンスだなと思った」

N「なるほどね」

ZEEBRA「そのチャンスは生かしたいな、というか」

N「今回一緒にやってるAKTIONは、真木(蔵人)君のことでしょ?」

ZEEBRA「うん、そうですね」

N「真木君とZEEBRAの繋がりは、何となく知ってるんだけど、ただそれだけじゃなさそうだもんね?」

ZEEBRA「そうですね。基本的にはそこなんですよ。俺を試写会に導いたのは、蔵人だし。やっぱ、奴が出てるから、俺が奴のアルバムを聴きに行く」

N「そういう感じで?」

ZEEBRA「だけど、実際にその映画観ちゃったら、誰が出てるうんぬんじゃなくて、映画の内容にガッツリいっちゃった、みたいな感じですね」

N「そして、実際に作っていくのは、ものすごい短い期間だけど、すごい上がっていく感じがするね」

ZEEBRA「うんうん」

N「完璧にたけしさんとも通じ、プロデューサーとも通じ、実際の映画の音とかもサンプリングして、中に取込んでいく」

ZEEBRA「はい」

N「完全にサポート関係が出来上がるところまで築き上げてきた。よくやりましたね〜?」

ZEEBRA「そうすね。たまたま俺が、ニューヨークになんかの曲のマスタリングに行ってて、その時にちょうどLAで撮影やってたんですよ。で、“ちょっと帰りに寄ってみようかな?”って観に行ったりしてたんで、そんへんから自分の気持ち的には入り込んでた」

N「それが、アンオフィシャルなものからオフィシャルになっていくという」

ZEEBRA「そうですね。jahガイダンスとしか言いようがないと思うんだけど、向こう側サイドのキャスティングの中に、アン・カーリーさんという人がいて、その人は昔JIVEでA&Rやってたんですよ。それこそドライブ・コールド・クエストからBDPから、KRS-ONEから、全部そのへんを手掛けた人で、そっからストップ・ザ・バイオレンス・ムーブメントのKRS-ONEに対する発起人になった人なんです」

N「あ、ほんとに?」

ZEEBRA「当時のプロモーション・ビデオを観たら、その人が出てて、なんか日系人っぽくて、トーキョー・ローズとかいう名前で出てて、“なんだこの人は?”とか思ってたんですよ。そしたら、たまたまそこの撮影の所に行ったら、なんかちょっと違う雰囲気の方がいらっしゃって。でも、日本語をしゃべる女性の方で、“アン・カーリー? ええ〜?”みたいな感じで(笑)」

N「ええ〜?」

ZEEBRA「で、その彼女といろいろ話をして、彼女もある意味、俺らのカルチャーを通訳してくれた。それもすごいあっと思いますね。彼女がもともと映画にオマー・エプスを連れてきた。ジャジージェフ&フレシュプリンスのウィル・スミスとハリウッドの方に行って、今はそういう映画の仕事をやってる」

N「ウィル・スミスと一緒にハリウッドに行って? うわ〜」

ZEEBRA「そうそう。そういう彼女がいたんで」

N「まさにjahガイダンスみたいな話ですね(笑)。仕組まれてたような話」

ZEEBRA「運命! みたいな感じ。全部出来上がってた」

N「意志を共にしたら、やって当たり前と?」

ZEEBRA「そうすね。すごく共鳴したというか」

N「実際、渋谷のイベントにたけしさんが足を運んでくれたんでしょ?」

ZEEBRA「そうそう。コマネチかましてくれたりして(笑)。バッチリですよ」

N「曲の感想とかは?」

ZEEBRA「ライブ終った後にちょっと話したら、“ラップっていうのは、言葉とリズムと・・・”って、たけしさんなりにいろいろ分析されてて。単純に俺としていちばん嬉しかったのは、その時ちょうど成人式の問題があって、“若い連中はそういうのばっかかと思ってたけど、こういう良い不良がいて良かった”って言われて。それは今回の仕事に関して、いちばんピッタリの褒め言葉だなと」

N「よくぞ突っ込んでくれた、っていう感じがしますね。わけのわからない大人に理解を示してもらうことより、たけしさんみたいな一つのすげぇ美学を持ってる人が、B-BOYたちの世界観をハッキリ示して、そこを引っぱってるZEEBRAとパンとぶつかったらさ、そりゃ認めるわ。そこが組むと面白いよね?」

ZEEBRA「そうすね」

N「真木蔵人さんとは、もともと仲間うちなんですか?」

ZEEBRA「そうすね。ルーツを辿れば、渋谷のセンター街とかでうろうろしてた、そういうストリート的な所からの知り合いというか、顔見知りというか。で、時を経て、どんどんZEEBRAと近い所に流れきたという。去年も蔵人が主宰してる[ナカマ・レーシング]という、DJプレイがあって、レゲエとヒップホップのライブがあるイベントで、ツアーを廻ったりとか。俺のショーなんかでも、いっつも司会とかやってくれるんですよ」

N「そんな彼もラップをするわけじゃないですか? しかも、ZEEBRAと絡む」

ZEEBRA「うんうん」

N「で、ちゃんとしたヒップ・ホップ・ヒエラルキーからすると、蔵人君がZEEBRAと一緒に絡むってさ、やっぱふつうあり得ない感じがするんだけど、そこはちゃんと厳しくやったんだって?」

ZEEBRA「俺の中でいちばんポイントとして考えてたのは、シャキール・オニール(現NBALAレイカーズ)っているじゃないですか? あの人はバスケの選手だけども、自分でもラップのアルバム出してる。そういう意味じゃ、“シャックより上手くやれよ”みたいな(笑)」

N「なるほど(笑)」

ZEEBRA「奴も聴いてる音楽は、ほとんどヒップ・ホップとかレゲエだったりするんで、そういうのは身体にしみ付いてるし?」

N「なるほどね。それが作品になるレベルになかったら、やっぱりZEEBRAの中に入れてないでしょ?」

ZEEBRA「いや、もちろん。俺は最後の最後まで、チェックしてました。逆に言ったら、奴も自分のライフ・スタイルがすごいあるんですよ。そのスタイルが出ないうちに出したくないというのがあって。“なんだ、ラップやらせりゃただの人じゃん”みたいになっちゃったら、蔵人がせっかく今まで築き上げてきたスタイルをなくすと思うし。そういう意味じゃ、ある程度、ギリギリそのスタイルが見せれる段階までは、何が何でもやろうと。で、そこまでその時間内にいかなかったら、俺が1人で全部歌うと」

N「うわ、厳しい(笑)」

ZEEBRA「うははは」

N「でも、当然だよね?」

ZEEBRA「まぁね。単純な企画モンだと思われたくないし。奴がほんとにそういうものが、ちゃんとバック・グラウンドにあるというのが、わかるようなものにしたいっていう」

N「なるほどね。その関係性。当然と言えば当然だけど、それでスキルがどんどん上がっていくんですね」

ZEEBRA「うん」

N「さて、いきなりビデオ・クリップの話になりますが、今度は、真木蔵人大監督が(笑)?」

ZEEBRA「そう! 今度はもう、ほんとに大変ですね。前からお互いに“演技とかやったほうがいいよ?”“アルバム出したほういいんじゃない?”みたいなことは、言い合ってたんだけど、それがほんとに現実に・・・(苦笑)」

N「なかば関係性が逆転するわけですね(笑)?」

ZEEBRA「も〜う大変ですよ。ま、それは自分でも考えてて、もし映画とかに俺が出る時は、すげぇいろいろなこと言われるんだろうな、まぁその時はとか思ってたら、いきなり“PVは俺が監督する”とか言い出して(苦笑)。“ここは怒ってるところだから、息が上がってないとダメだから、ちょっとそこ走ってきて”とか言われて」

N「あはははは」

ZEEBRA「“階段上がって!”とか言われて、初め“は?”とか思って(笑)。でも、面白かったですよ。沖縄で撮ったんですけど、やじうまとかも200人ぐらいいて」

N「これはじつは、10分ぐらいのロング・ヴァージョンというのがあるんですけど、解禁が2月1日からなんですよね?」

ZEEBRA「明日なんだよね〜(苦笑)」

N「今、このを映画[BROTHER]と一緒に観れる所があるんですって?」

ZEEBRA「あ、そうそう。渋谷のシネパレスかな? そこだとレイト・ショーのみで、映画の前にPVがかかるらしい」

N「合わせてみれると」

ZEEBRA「やっぱりね、映画を観てほしいですよ。俺も映画のプロモーションになってほしいっていうのは、実際あって。映画良いから。たとえば、俺が自分のアルバムにいろいろなアーティストをfeaturingで入れるじゃないですか? それとおんなじ。この人良いから、聴いてほしいから。この映画良いから観てほしいから」

N「さて、今年は何かやらかす予定は?」

ZEEBRA「今年はですね、今のところ目下、キング・ギドラのリユニオン・アルバム?」

N「リユニオンするの?」

ZEEBRA「うん」

N「楽しみですね。またスタジオに戻ってきてください」

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