MASTERKEY/7/28(土)インタビューfromマキシマム

中村道生(以下N)「スタジオ初登場となります。お会いしたかったんです。自己紹介どうぞ」

MASTERKEY「どうも、MASTERKEYです」

N「初めまして」

M「よろしくお願いします」

N「あ、今日はLE(オリジナル・ブランド)は?」

M「ちょっと被り過ぎちゃって(苦笑)」

N「あれ、たくさんあるの?」

M「ありますよ。試作品はあるんですけど、いろいろ改造中で、これからちゃんとしたやつを作ろうと思って」

N「そのうちレーベルとして、何かやるの?」

M「そうですね。結局みんな、僕らと一緒に動いてる若いDJも、なかなかレコード買うのもお金かかるじゃないですか?」

N「ああ、なるほどね」

M「少なくとも、洋服とかあげられたらなって。それでレコード代に回したりとかして」

N「誤解を恐れずに言うと、最初パッと見、あれ(ロゴ)が"LA"に見えて、"あれ? この人ニューヨークの人なのにな"って(笑)」

M「ふふふふふ」

N「狙ったんですか(笑)?」

M「いや、ぜんぜん狙ってないですね。でも、"LE"っていうロゴも、単純だけどすごいカッコイイなって。僕、ニューヨークに住んでた時も、ロア・イーストサイドって、LとEなんですよ」

N「なるほどね」

M「それと引っかけて」

N「この人は、もともとDJとして高名な方ではあるけど、だいたい裏方サイドと言いましょうか・・・」

M「そうですね。ま、DJというのはある意味、A&Rであったり、そういうポジションでもあると思うんですよね」

N「発掘でもあり、紹介者でもあり、もちろんクリエーターでもある」

M「そうですね」

N「さらにそこに、エンターテインメントとしてフロントに立つということが、ご自身の名前で出すには必要になってくる」

M「そうですよね。やっぱり、そのへんもずいぶん必要だなと。自分が逆の立場で考えると、いったい何が足りないのか、何が必要なのか、俺が見てる立場だったらここでこうするとか、いわゆる待ってる所にポンと落とせるような?」

N「ああ、なるほどね」

M「待ってる所に落ちてきて、しかも思わず手を上げるような?」

N「でも、なかなかそれが出来る人いないですよね?」

M「でも、僕はけっこう、そういうところにいちばん拘ってやっていきたいなと思って。それが例えばクラブとかだったら、自分が遊びに行ってる時に、"な〜んか面白くねぇなー"っていうよりも、花火じゃないけど"待ってました! ヨッ!"みたいな。そういう部分だと思うんで」

N「そのタイミングをすごく聞きたかったんですけど、今年の4月に自分のレーベルを作って出す、っていうのがありましたよね?」

M「はい」

N「それまでも、渋谷を中心に、もうアナタ神様みたいな人じゃないですか?」

M「いえ、そんなことないです」

N「そんなところにいたのに、なぜ今年の、あのタイミングなんですか?」

M「それ、すごい言われたんですけど、まず最初に大事なのは、自分のタイミングでやりたいということですよね。人はいろいろやったりとか、気になったりするけど、べつに人は人だし、とにかく自分のタイミング? 自分は自分だっていうことを、やりたいんですよ。だから、人のことはぜんぜん気にならないし、人が何しようが"頑張ってください。俺も頑張ります"。そういうスタンスだったし。まず最初に、クラブDJとしてどうにかなりたかったんですよね。クラブDJで、例えば一晩で、ワン・セッションが100万! とか? そうなれば、それはDJとして職業が確立した、っていうふうに思ったけど、いかんせんアメリカと日本はいろいろなことが違いますから、それだったら日本の対応でやっていきたいなと。そのためには、まずDJとして名前を売りたいっていうのが、すごい自分であって」

N「なるほどね」

M「もちろん、自分で曲を作ってなかったわけじゃないですよ。いろいろやってはいたんですけど、"さぁ、行きますよ!"っていうのは、やっぱりいろいろDJとし・・・。"DJって言えば誰?"って言われた時、"MASTERKEY"って言われたら、"よし!"って自分でもなるし、そうなったあとに、いろいろな面白いものをどんどん出していけたらなって。とにかく、DJっていうポジションを、MC、ラッパーと同じぐらいな位置に持っていきたいなって、5年ぐらい前からずっと思ってて」

N「へぇ〜、なるほどね。そういう意味では、敢えてそこに切り込んでいったという」

M「うん」

N「ヒップ・ホップがめちゃくちゃ盛り上がってきてるところで、いわゆるDJとして切り込んでいく?」

M「そうですね。やっぱり何もないところでやるよりは、一生懸命築いたところに、徐々に、この作品なら作品を出していくっていうやり方で。やっぱり、ドーンと来て、ドーンと出て、バーンっていうのは・・・すいません、ちょっとわかりにくいかな(苦笑)?」

N「いやいやいや(笑)」

M「例えばDJだったら、自分のイベントで最初(客が)入らなくて、努力して努力して、いろいろなものを見て、経験して勉強した形がその人の形だと思うんですよ。だから、そういうことが、まず自分で出来るっていうことを、どうしてもしたかったということですね」

N「これはよく聞かれると思うんですけど、いわゆるパーマネントなBUDDHA BRANDと、自分が表に立つのは、どういう違いが?」

M「やっぱりBUDDHA BRANDもそうだと思うんですけど、もともとバラバラにいて、一人ひとりが強ければ、要するに集まっても、何本の矢がどうのこうの、ってあるじゃないですか? ああゆうノリだと思うんですよ」

N「ええ」

M「ま、逆のパターン? 一生懸命何人かでやってて、あとで分かれてやる。ニュアンスはそれぞれ違うと思いますけど、俺は一人ひとりが強ければ、また集まってやった時にも強いことが出来ると思うし、お互いに刺激しあい、お互い目に見えないところで競争しあうというのは、非常に良いことだと思いますけどね」

N「なるほどね。もう1コ、今までの作品を全部聴かせてもらって思うんですけど、めちゃくちゃ、誰と一緒にやるのか困るぐらい、すごい才能溢れる歌い手さんだったり、ラッパーの人だったり、そういうシーンの底上げが出来上がってる、その立役者でもあるんですけど、というところが大きいような気がしたんですけど?」

M「どうなんでしょうねぇ。ま、僕らDJというのは、ある意味、面白い人を発掘していったりとか、今出来ることというのは、このシーンを今よりも長く、凄くする前段階だと思うんですよ。だから、たぶん、あと10年ぐらい経ってやってる奴のほうが、もっと調子良いと思うし(笑)」

N「うははは。それはイノベーターだからね?」

M「もう、それはしょうがいないんですよ。ただ、その時にアメリカみたいに、昔の人はリスペクトされて、っていう形みたいなことが行われれば、それはそれで良いんじゃないかなって。例えば、僕らだったら、今までやってきた人たちに対して、すごいリスペクトの気持ちがあるわけじゃないですか? 今、こう出来るのは、その人たちが一生懸命やってきたことだから。たぶん、これから先も、そういうことが続くと思うし。もし、リアルであれば」

N「うんうん」

M「だから、その途中にいる段階なんで。まぁ、私腹を肥やすというよりは、まだシーンを(笑)」

N「だってね、他にいなければ自分でやらないといけないという。しかも、めっちゃわかりやすく説明してもらいましたけど、ちゃんとメーク・マネー出来ていく状態というのは、めちゃくちゃ大切ですよね?」

M「うははは。大切です(笑)。僕なんか、あっぷあっぷなんで(苦笑)。いつもフル回転です(笑)。でも、最近はすごい楽しくなってきましたよ? やっぱり一時期は、辛い時期とかいろいろあったし。だけど、自分の中である程度は越えていって、今は例えば、曲作るのもすごい楽しいですし」

N「へぇ〜」

M「昔はそんなことなかったんですよ」

N「いや、苦しかったという話が、また似合わないなと思って(笑)」

M「いやいやいや(苦笑)。ああゆう録音物が苦手で・・・」

N「うははは」

M「でも、最近はね、モノを作る楽しさ? イメージして、それをどう近づけていけるか? っていうのが。"なんか俺もカッコイイなぁ"と思って(笑)」

N「また、それを出来るところが。僕もじつはHARLEMとか、何回か行ったことあるんですけど、マスター・ミックスというか、全体の盛り上げが、この人はめっちゃくちゃ上手いなって、すっげぇ思ってたんです」

M「いえいえ。ま、僕が見てきたもの? それで良いなと思ったものを、自分の身体に入れて、それからもうちょっと違う形で出してる」

N「しかも、拘りがあるようで無いというか、無いようであるというか・・・」

M「拘りは無いですよ? ただ、楽しければ良いっていうのが基本なんで。人生と一緒で、楽しいほうが良いじゃないですか?」

N「それ面白いですね。技術に走る人とかいて、パーティじゃない感じとかになるんですけど」

M「そうですね。そういうのもいろいろあると思うんです。例えば、陸上だったら100メートルやるのか、42.195キロ走るのか、それとも10キロ走るのか、っていう。僕らの場合は42.195キロ型だと思うんですよ」

N「しかも、ものすごいあちこちでドッカン、ドッカン、なりながら」

M「そうですね。いろいろありだと思うんだけど、やっぱり俺は、音楽を聴いて自分が楽しくなれる? それを人に伝えたいっていう気持ちがすごいあったし、音楽を聴くのに、頭なんかで考えずに? もっと身体でさぁ、っていうことをやりたかったんですよ」

N「うんうん」

M「だってそうじゃないですか? 音楽を聴いて"うん、これは・・・"なんて言ってる奴って、ちょっと嘘くせぇなって。それよりも、"うん、良いねぇ、良いねぇ、こういう感じだね""ナイス、ナイス"っていう(笑)」

N「全国を廻ったりしないんですか?」

M「いや、もう全開に廻ってます」

N「あ、もう廻ってるの?」

M「だいたい都道府県はほとんど行きましたよ」

N「もう1回行ってほしいなって言いたいぐらいですけど、行きたい人は金曜日に渋谷のHARLEMにね?」

M「それもありますし、だいたい土曜日は地方営業でいろいろ行ってますから」

N「DJの人が一緒にラップの人とやるところもあるかと思えば、自分で(マイクを)握るじゃん(笑)?」

M「そうですね(苦笑)。自分で盛り上げて、自分で喜んで、たまに自分で歌って、"お前が歌うのか!"っていう突っ込みまで入って(笑)」

N「はははは。これがね、めちゃくちゃ面白いんですよ」

M「要するに、音を聴いてると、居ても立ってもいられなくなってくるっていうか、そういう・・・お馬鹿ちゃんなんですか(笑)?」

N「いえいえ(笑)。でも、いつ音楽作ってるの? って思うけどね」

M「昼間やってます(笑)。俺、けっこう明るいうちにやるの好きなんですよ(笑)。それで夜は遊びに行くっていう(苦笑)」

N「うははは。そこは徹底してる?」

M「そのほうが自分はやりやすいですね」

N「遊びに来られる側の人が、遊びに行くっていうこともあるんですね?」

M「ありますね。よく不思議に思われるんですけど、俺もよく行って遊んでますよ」

N「へぇ〜。ふつうに友達がやってる所に?」

M「行きますよ。やっぱり、そういうのすごく面白いし。そういうクラブで育っちゃった、みたいな感じがあるんで。"どうして遊ぶか?"っていうと、他にやりたいことがあるから遊ぶわけであって(笑)。だってそうじゃないですか? 音楽って、いろいろ聴いたものとか、感じたものとか、経験がすべて表に出てくると思うんですよ」N「ほんっと徹底してますね?」

M「いや、徹底してるというかね、そういう理論に基づいて勝手に作ってて。俺、家の中で聴いてるって、ちょっと違うと思うんですよ」

N「はははは」

M「っていうか、お天道さまの下が好きなんで」

N「ほんとLife is Entertainmentっていう感じですね?」

M「そうですね。自分の人生自体が、もっとハッスルしたいですね」

N「ふははは。今、ほとんどアルバムのほうは出来上がってるんですよね?」

M「はい、ほとんど出来上がってますね。いろいろ良いメンツに入ってもらいまして、シングル最初のDEV LARGE、SUIKEN、NIPPS、今度出たのがF.O.Hなんですけど、あとツィギー、ラッパ我リア、ニトロからはデリー、DABOもいます。あとはGKマーヤ。あとK DUBSHINEも入りますし」

N「はいはいはい」

M「けっこう豪華メンツで。音はだいたいもう録り終って」

N「今、買ってもらわなきゃいけないのが、「RIDE WITH ME」と?」

M「はい」

N「ビデオ・クリップも楽しくやってますね?」

M「はい。やっぱり、良い意味での期待の外し方がすごい好きで。"コイツこう来るだろうな"と思った時に、ぜんぜん違うものを出すとか」

N「どう来ると思わせといて?」

M「これもよく言われるんですよ。「RIDE WITH ME」も、2曲目に歌モノが来ると思わなかったとか。意外ですね〜とか。そう言われてみると嬉しいなって」

N「もちろん、F.O.Hも自分たちのスキル・アップどんどんしてきた人たちなのに、突然こんなパーティーな、しかも歌モノで、お互いのためにも、めちゃくちゃ面白いところにいってますね?」

M「そうですね。あとはアルバムで言わせてもらうと、いちばんどういうところに気を付けるかっていうと、"人と違うことを皆さんやってください"って言ってるんですよ。例えば、アメリカの誰々風とかいうのは、俺は絶対無い!」

N「ああ〜」

M「っていうよりも、俺の作品で、普段出来ないことがもしあれば、どんどんそれをやってほしいっていうことで、LIFEENTERTAINMENTのカラーに少しでも近づいてもらって。普段見れないような、ラッパーたちの違うものを出してあげれたなっていう」

N「遊びに来いよ、っていう感じですね?」

M「そういう感じ。それをアルバムにしようかな〜っ、みたいな(笑)。それはまだ、決まってないですよ?」

N「ほとんどをアルバムの話に費やしたような気がしますね(笑)」

M「費やしてましたね(笑)」

N「10月が楽しみです。また遊びに来て!」

M「はい、よろしくお願いします」

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