「突破したいとか打破したい、成長したい、っていう、そういうきっかけになるアルバムになったらいいですね」
男顔負けの勢いあるステージングで、暗いトピックスを軽く吹き飛ばすポジティブなヴァイブスを放ち、ラッパーを目指す女性の希望の光となっているのがMISS MONDAYだ。そんな彼女が待望のファースト・アルバム『Free ya』を完成させた。それを紐解いてみると、予想通りレゲエ・アーティストとのコラボレイト作品が結構な存在する。そんな中でも一番目を引くビッグ・ネームがスライ&ロビーだ! 彼女は彼らとの出会い、人生初のジャマイカ体験を興奮気味に語ってくれた。
「ジャマイカでレコーディングしたこと自体が大きなトピックスというか、自分の人生経験上に無かった事だから色々勉強になりましたね。レコーディングの話をもらったときも『え? スラロビ?!』って固まっちゃいましたからね(笑)。
実はCDが彼らの手に渡っていて『君のラップはいいね』っていう話から一緒にやる話を頂いて、先に20曲位トラックを聞かせてもらって、『その中から好きなの選びなさい』って言われて、HIP HOPとダンス・チューンをそれぞれ一曲選んで、日本で詞を書いてそのままジャマイカに飛んじゃったって感じ。それが6月の10日位だったかな。
ジャマイカは初だったのですが、こんなに行くのに時間が掛かるものとは…(笑)。乗り換え乗り換えで1日かかりましたよ。レコーディング自体のんびりペースで、日本だったら午後いち位からスタジオに入って3、4時にレコーディングを始めるんですけど、ジャマイカでは午前中にビールをたしなんで(笑)、夕方位から入って3、4テイク位を一気に集中して録る感じで。生活リズムがゆっくりになっちゃって日本みたいにせかせか出来ない。夜は夜でまたイベント見に行ったりして、本当にゆっくり出来た。
ちなみにイベントはね、バウンティ・キラーのヤツとか行った。ゲストのインビを見せびらかして歩いてたら、付き添いの人に「そんな物見せちゃ駄目だ。カメラも見せちゃ駄目! 取られるぞ!」とか言われて(笑)、警察も何をしてるのか目が赤くて(笑)。イベント自体は目当ての人がくるまでは割とジーと見てて、そこはなんかね、思っていたイメージとも違うなって思いましたね。けど、DJが歌ってる時に前の方で興奮した人が拳銃を一発上に発射しちゃったんですよ。そしたら皆クルって後ろに向いて、蜘蛛のコ散らす様にバーって逃げちゃって(笑)。でもマイク持っている人は何も無かった様に歌い出して、凄いジャマイカの人は慣れてるなぁとか思いましたね(笑)。 スライさんは物静かでニコニコしてウンウンうなずいてる感じの人で、抽象的な御願いでもMPC2000ですぐに作っちゃう感じで、それに私がキーを合わせるために歌うと、ロビーさんがキーに合わせてベースを弾く感じでしたね。ロビーさんは凄く明るい人でしたね」
実際、この後もジャマイカの話は続くのだが、その楽しさはアルバムを通して感じて欲しい。ちなみにスライ&ロビーの秘蔵っ子であるリバ/カリブやダンスホールの女王であるレイディ・ソウ、群馬を代表するレゲエDJであるイールマンまでもが参加し、非常にカラフルな内容になっている上、自分自身を解放できるポジティヴ・ヴァイブスが満タンである。
「タイトル『Free ya』の後にわざと具体的な言葉を入れなかったのですが、このままズルズル続いちゃいけないな、って思うものを皆さんがそれぞれにあてはめて欲しい。突破したいとか打破したい、成長したい、っていう、そういうきっかけになるアルバムになったらいいですね。私も自分の弱い部分を無くしていって、もっと自立した女の人になっていきたいし、そういう意味でこういうタイトルにしました」
さて、皆さんはこのアルバムを聴いて何を感じるのだろうか?
●インタビュー・文/柾虎