DJ MASTERKEY - ONE LIFE/SECTORより

とにかく『GET BUSY! HARDEST WORKING! もう一回!』みたいな。カムバック宣言

日本語ラップに革命を巻き起こしたBUDDHA BRANDのDJとして、また渋谷HARLEMで毎週金曜日に開催されている“DADDY'S HOUSE”のメインDJとしてニューヨーク・スタイル(レコードをガンガンに擦って、さらにマイクで客を煽るスタイル)を展開したり、はたまたリミキサーとして活躍しているのがこのMASTERKEYだ! そんな多彩な彼が、“DADDY'S HOUSE”での盟友、DJ YUKIJIRUSHIと展開するレーベル、LIFE ENTERTAINMENT.を本格的に始動させ、第一弾シングル「ONE LIFE」をリリース! 今回のインタビューではこれからプロデューサーとしての活動を本格化させるにあたっての意気込みから、シングルの中身を徹底的に聞いてみた。

―― 最近はどんな動きをしてたんですか?

MASTERKEY(以下M)「最近はこれ(今回のシングル「ONE LIFE (WON LIGHT)」)に集中してたね。これがやっと完パケたんでね」

―― DJも忙しかった?

M「DJはね、このシングルに伴う全国周りですね。今週は、松山、愛媛、神戸って連チャンなんだ、週末。あとは金曜日のHARLEMでしょ」

―― キツイっすねぇ。

M「キツイですね。キツイけど、頑張り甲斐がありますよ」

―― 今回のシングルを皮切りに、DJよりトラック・メイカーとして忙しくなってくる可能性も高いですよね?

M「そうだね。トラックの方を今度はメインでやっていきたいんで」

―― MASTERのトラックって何か独特の毒がありますよね。

M「本当? 俺、燻し銀だから(笑)。あ、街の遊撃手だから(笑)」

―― 何、街の遊撃手って?

M「分からない? フット・ワークが軽いっていうこと」

―― なるほど(笑)。では、ここからMASTERのプロデューサーの顔に照準を合わせていきたいんですけど、ようやく本格的に動き出した感じですよね。これからの意気込みを聞かせてください。

M「とにかくDJを今まで一生懸命やってきて、やっと、なんとか少し名前も定着したかな、って感じなんで、自分のやりたい次の目標に行こうかなと思って。前まではね、とりあえずDJっていう職業が確立されればいいなってスゲエ思ってたんだけど、今、結構そういう意味じゃ、DJもスゲエ増えたと思うから、『そろそろ曲でも作んないと、メシ食えねぇかな』って(笑)」

―― あと以前からMASTERがDJ YUKIJIRUSHI氏と展開していた“LIFE ENTERTAINMENT.”も本格的に動き出したって感じで。

M「そうだねー。やっとサイコロが回りだしたって感じで。ちょうどシングルに“LIFE”って言う言葉も入って、キッカケもいいかなって」

―― 雑誌で見たんですけど、LIFE ENTERTAIMENT.って新人発掘もやっていますよね?

M「発掘まではいかないんだけど、もっと簡単な形で。面白いヤツがいれば、何か持って来てもらって、俺が面白いと思って、それで気が合えば出すのは全然良いと思うし。そういう感じ。発掘っていうか、無理矢理強引に見つけて出すっていう感じではなく、ストリート・レベルだね」

―― 実際、雑誌とかで募集していいアーティストは来たんですか?

M「テープはいっぱい来たんだけどね……。やっぱり、そんな簡単に面白い人って出てこないと思った。ちなみに、2曲目(「HIP HOPGENTLEMEN」/RHYMESTERのMUMMY-Dとラッパ我リヤの山田マンが参加している)に入っているBAMBOOっていう女の子はテープを聴いてて『いいな』って思って、電話して『やりましょう』って。この子たちに関しては、これからだよね。これからキャリアを積んでいかなきゃいけない人たちだと思うから。だから俺が作品で女の子の声が必要になったら、彼女たちに頼んでいって、経験をどんどん積んでいってもらう感じで。まぁ、キャリアがものを言う商売だと思うから。若い子もいろんな所に出れれば、上に行くのも早いと思うから」

―― “この子たち”っていう発言がありましたが、BAMBOOって何人組みなんですか?

M「2人。しばらく会ってないけど」

―― ちなみにこの子たちはどういうところで活動していた子たちなんですか?

M「俺もそこまで知らないんだよね。ただ、やっぱり何が大事かって、インパクト。歌が巧い以外にも必要なことって、伝わってくるものでしょ? そういうものが伝わってきたんだよね、ビビッと。え、表現古い? (笑)俺、結構、五感を大事にするから、感じるものとか大事にしたいなって。何回も何回も会って、覚える奴もいれば、一回会ったら忘れ無い奴いるじゃん。そういう存在とかって、結構、俺、大事にしなくちゃいけないのかなと思うんで。そういうので、彼女たちいいなって思って」

―― 凄い暖かい感じの声を持っているグループですよね。

M「そうそう、そういうものが欲しかったんだよ。あのトラックにはそういったものが入ったら、もっと引き立つかなって思ったんだよね。そういうところが、彼女たちの良いところであったりして、暖かみがある、そういうのが良いなって。「HIP HOP GENTLEMEN」はクラブの中のことがテーマだから、クラブの中って男だけじゃないでしょって。女の子たちもいるし。そういう意味で彼女たちに入ってもらった」

―― 「HIP HOP GENTLEMEN」にはRHYMESTERのMUMMY-D氏とラッパ我リヤの山田マン氏が参加していますが、この組み合わせもまた意外な感じですよね。

M「色んな作品で出ているようなフィーチャリング同士よりは、あんまり見たことない組み合わせのほうが聴き手は欲しがっていると思って。俺はイレギュラーみたいのが好きで。彼等だけじゃなく、いつも見られないような組み合わせがアルバムに入ると思うし。そして、ラッパーたちにお願いしていることは、いつも自分たちのグループとかで出来ないようなこととかをチャレンジしてもらって。だから俺も彼等の違った面を引き出すように努力したし。とりあえずトラックを作るDJっていっぱいいるけど、それなりに努力して色んなことやってるし。これは俺たち(MASTERKEYとDJ YUKIJIRUSHI)なりのアイディアって感じだよね」

―― あと聴いて欲しいのはMUDDY-D氏と山田マン氏が歌っている部分ですよね。馬鹿にしたような歌い方が素敵ですよね(笑)。

M「超馬鹿にしてるんだもん。そういうハイレベルなギャグが好きだから。って言うか、おやじギャグなんだけど(笑)。そういうのが好きなんですよ。スレスレのラインっていうのが、魅力的なんで。そういう所を狙ってる。皆、付いてこれるかな? (笑)」

―― 実は矢沢さん(MASTERKEYの本名)も歌ってるとか?

M「無い無い無い! リリックは大体覚えたけど、コーラスは歌ってないよ」

―― BUDDHA BRANDのDEV LARGE氏、NIPPS氏、そしてSUIKEN氏が参加したタイトル曲「ONE LIFE」も男気溢れる感じでいいっすね。

M「そうそう。これに関してはイメージ通りだよね。ハードコア・スタイル。俺にとってHIP HOPで一番鳥肌モノっていうのは、こういう男気系なものだから。女の子が参加して歌メロがある形もいいけど、俺が一枚目、名刺代わりになるのはこういうのだって決めてたから」

―― NIPPS氏はBUDDHA BRANDのアルバムにもあんまり入っていないぐらいなので、こうしたコラボレーションは凄いことですよね。

M「うん、だから面白い組み合わせになったと思うんだよね。だってデミちゃん(NIPPSの通称)入るつもりじゃなかったんだけど、最近彼、HARDEST WORKINGで、久しぶりに気合入ってて、本人曰く『5年ぐらいぶりに普通に戻った』って。スレスレっていうのは、あの人のことだから。キ○ガイだから(笑)。ああいう独自のキ○ガイ感を出したかったし。結果としてそれが隠し味になってるし。SUIKENとLARGEのイケイケと、このおっさんのテイストがかなりいい感じにきてると思うんだけど」

―― そうそう、このサブ・タイトルの“WON LIGHT”ってどういう意味なんですか?

M「勝手に作った言葉(笑)。要するに勝ち(WIN)の光みたいな。本当こんな言葉、全然無いらしいんだけど、作ってしまいましたぁ。BLACK ROBの「WHOA!」だってさ、カッコ良いものに対して言ってる言葉を勝手に作ったものなわけじゃん。そういう勝手に作ってしまうことってカッコ良いよね」

―― では、最後に今後の展望などを話してくださいませ。

M「とにかくこのシングルを一発目出して、どんどん出し続けていきたいな、と。この後にシングルが一枚出ると思うし。その後、多分アルバム。夏くらいかな。そのアルバム出してからも、また単発ものを出して、すぐに次のアルバムに入れるように準備しなくちゃいけないんで。とにかく『GET BUSY! HARDEST WORKING! もう一回!』みたいな。カムバック宣言。一生懸命努力して、『あいつ、あいつ! WON LIGHT!過労死で死んだらしいよ!』って言われるくらい一生懸命仕事しようかな、と思って(笑)。やる気満々なんで。とりあえずこれを聴いて下さい。良いか悪いかは皆さんの判断に任せます。よろしくお願いします」

●INTERVIEW/柾虎

もどる / トップ