RINO - R.L.U/SECTORより

韻っていうのは、これまで重要視したことはそんなに無くて、言葉一つ一つにどれだけの力を入れられるかどうかっていう方が俺は醍醐味だった。

独自のオーラを放つラッパー、RINO LATINA IIの過去、現在、未来を垣間見れるインタビューは必見!

-―― RINOさんってどういう少年だったのですか?

RINO LATINA II(以下R)「一言で言っていじめっ子。後はやっぱ目立ってたから、絶対最初入った場所で狙われて、結局何にもなくて仲良くなったり。中学校、高校とかはそんな悪さというよりも、サッカーとかに明け暮れてた」

―― ちなみにイジメをやめるキッカケは何だったんですか?

R「いや、結局最後までいじめっ子だったと思う。そんなにひどくはないけど。だけどHIP HOPと出会ってから変わった。いじめてる奴の方がよっぽど惨めだな、っていう違う価値観が出てきた。いじめている当時は絶対持てなかった考えを、感じさせる凄い奴等がいっぱいいたって事。本当そう思う。リリック聴いてもそうだし、そういう事言ってるアーティストがいた。すげぇ少ないけど、私生活もがっちりやってる奴を俺は見てて、影響受けてるし、逆にすげぇ偉そうな事を言ってて、私生活よっぽど惨めな事やってるMCもいるし。そういうのを見て『こうなりたくねぇな』って思ったのもあった」

―― ちなみにHIP HOPと出会ったきっかけは?

R「HIP HOPのテープとかはその前から結構あったんだけど、自分から初めてレコードを買ったのはBRAND NUBIANの「PUNKS JUMP UPTO GET BEAT DOWN」で、最初にゲットしたアルバムはL.L.COOL Jの『Walkin With A Panther』だね。あれは本当、テープが切れるまで聞いた」

―― 自分自身でラップをやりはじめたのはいつですか?

R「高校生の時だよね。15歳の時に同級生で、当時六本木 にあったクラブの内装を手伝ってる奴がいて、そいつから『すげぇディスコが出来るんだよ』っていうのをチラホラ聞いてて、その工事が一年くらい後、完成したときに行ってみて、何しろやられたよ。当時ユーロビートが流行ってたんだけど、そういうのとは又違う、ブラック重視のハコで、そこでMUROくんやHONDAさん(dj honda)も回してたし、DJ KRUSH、DJ YASとかその辺のメンバーとも知り合った。そこではまず、新しいステップ覚えて、そこで踊るのがすごい楽しくて仕方なくて、その踊りっていうのがユーロビートじゃカッコ悪いし、それでだんだん『この動きをさせる音楽って何だろう?』って。それでブラック・ミュージック、ダンス・ミュージックって進んでいって、そこから(HIP HOPまで辿り着いた)。学校終わったらバイト行って、貰った金で六本木行って、帰りは当時マハラジャの前にあった麻布ラーメンでラーメン食って帰ってたね。チャーシュー麺食える日はバッチリ。850円って高かったからさ、高校生には(笑)。そこで色々なものを見て、色んな経緯があって、初めて書いたリリックをYAS君に聴いてもらって、そしたら『良いよ。やってた方がいいんじゃん。DJ見つかるまでやってやるよ』っていう所から今までzyっとやってるんだ。俺、会う人には16歳くらいに会ってた。常にスタートが良い場所だったね」

―― ラップを始めたときのスタイルはどのようなものだったのですか?

R「韻っていうのは、これまで重要視したことはそんなに無くて、言葉一つ一つにどれだけの力を入れられるかどうかっていう方が俺は醍醐味だったし、自分と違うMCと差をつけるところだと強く言える部分だから。(ラップっていうのは)韻遊びじゃなくて、世の中で生きてて、自分なりの意見を持ってストレートに伝えられるか、だから。百回韻を踏んで「バカ」って言うのと本当に気持ち込めて「バカ」というのでは、気持ちを込めている方が強いと思うし。そういう差かな」

―― そうやって12年以上シーンの中央にいるわけですが、今のような一般的にも広まったシーンを冷静に見て、どう思いますか?

R「俺としてはすごく喜ばしい。俺もずっとHIP HOPをやってきて、HIP HOPの事を取り上げている雑誌とか少なかったし、その記事を見つける事自体難しい時代を見てきて、これだけの今になっているというのは、皆やってんだなって思うし、俺もやってきたなって思うし。それをただのブームで終わらせるか、終わらせないかは俺達の責任になってきている。俺は俺で出来る責任っていうのを果たしていこうと思っている。そのままの形で残るっていうのは時代の変化でムリだと思いますよ。老子の好きな言葉で、『道、心理、道理、思想。それは絶対に時代によって変わっていく』っていうのがあるんだけど、それはその通りだと思うし、HIP HOPっていうのは常にどんどん変わっていっても良いものだから。俺がHIP HOPで一番惹かれている部分は、自分を後ろ向けないところまで持っていかないとやっていけない、そういう強い部分が俺はすごい好きなんだ。自由に対しての責任は凄くあると思うし、逆にそれだけの責任を果たせば果たすだけ、俺は自由になっていくと思うし、常にやりたい事があって、それをやれるスタッフを集めようと思ったら集まるし、そういうチャンスの時は来るし、誰よりも俺は人の輪とかっていうのは昔からあったから」

―― 確かに。では、今回のシングル「R.L.II」に関して話を進めていきたいと思います。

R「これは名刺代わり。だからアルバムを聴いて、もっと俺を知ってもらいたいと思う」

―― タイトル曲でもある「R.L.II」をB面(CDの二曲目)に入れた意図は?

R「名刺の前に一曲入れるぐらい贅沢な事をしたいな、と思って。この「CRAZY ERIC」っていう曲に関してはアルバムに入れるつもりないし」

―― これで若いリスナーがどう反応するか楽しみですよね。

R「うん。でも反応してから動くのでは遅いから、常に俺は攻撃の姿勢をとっている。ある程度対処じゃないけど、その前に違う話題に移すくらいのことをする」

―― 自分自身のブランドも展開していましたが、今後のリリース予定は?

R「これからもうちょっと契約を詰めて、やっていくつもり。マネージメントついた事によって、そこの主導権をどういう風にするかって事で違う話になってきているから。マネージメントが(ブランドの話を)持ってきてくれて、そのプロジェクトが進むっていうんだったら、事務所のしていることだからOKなんだけど、これは俺が個人でやってきた時からの話だから、ちょっと違う。今後、作りたい物っていうのはツボ刺激のいっぱい付いた靴の中敷き。HIP HOPPERって結構デカイ靴履くでしょ。だから計算した形のものを作りたい」

―― ちなみにRINOさんのファッションのポイントは?

R「別に無いね。意外と気に入ったらその服、毎日着てるし。臭いって言われてもね(笑)」

―― 最後に読者へのメッセージを下さい。

R「全国ライブを10月くらいにやると思うから、そこに来てもらって、アルバムや今回出すシングルの中だけじゃない俺のメッセージを聴いてもらいたいと思う。あと、全国のサッカー好きとサッカーで対決したい。ライブ終わった後にいつもマイクで『サッカー経験者いる? 経験者いたら後でサッカーやんねぇ?』って言ってるしね。でも残念なのが、半分くらいは普段雑誌で俺の事を見ていたり、聞いていたりする人とサッカーすると、チャージとか甘いんだよね(笑)。時々、夜中とか公園でボール転がしている奴とかは手加減なしでくるから、それは面白い。それでも勝つけど(笑)。今の所負けなしだから。ポジションは中学校の頃、センター・フォワードをやってたんですけど、今は結構後ろのほうが好き。一番後ろ(キーパー)の責任感は嫌いなんだけど、その前くらいボランチくらいが好きだね(笑)」

1st Maxi Single「R.L.II」MONOHON / XTRA LARGE RECORDS¥1.260- (tax in)2001.08.08 Release

●INTERVIEW/柾虎

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