ラッパ我リヤ - 日本改造計画/SECTORより

「使命感じゃなくて、リアリティーだよ。聴けば分かるような作りになっていると思う」(Q)

アルバム『日本改造計画』を完成させ、富士ロック・フェスティバルにも出演したラッパ我リヤの超ロング・インタビュー!

-―― (大阪の事件の映像を見ながら)今もこうやって犯罪が起きているわけですが、どのように感じますか?

DJ TOSHI「犯罪が犯罪を煽るっていうものが起きていたよね。例えば最近駅のホームで起こる事件とか多いじゃん。モラルが崩れて始めているよね」

山田マン「でもさ、目の前でそういう事件が始まっちゃっても周りが止めなかったら、周りも同罪でしょ。本当、明日は我が身っていうヤバイ世の中です」

―― では、目の前でこんな事が起きていたら山田マンさんは助けますか?

山田マン「僕は間違いなく助けにいきます。最近ね、近所で『うぎゃー!!ぐわっー!』って子供の泣き声と主婦の叫び声がしていることがあって、その時に隣の家のお兄ちゃんと一緒になって急いでそこの家に行って、窓ガラガラって開けて『何やってんだ!』って行ったんです。助けましたよ」

―― ちなみにそれは何があったんですか?

山田マン「夫婦ゲンカです(笑)。夫婦ゲンカの止めに入りました。子供ギャーギャー泣いてんのに夫婦ゲンカしやがって・・・」

―― メディアでこういった事件を報道しても、具体的な打開策を提示できずにいますが、ラップで打開策を提示するためにはどうしたら良いと思いますか?

山田マン「ラップは良い事を言っているものが凄く多いじゃないですか。ぱっと聞きだと聞き流しちゃうような事も、じっくり聞くと『そうだ、そうだ』ってうなずいているのがリズムになったりね。HIP HOPってすげぇパワーを持っているから、もっとコッチに来て欲しいし」

―― 幼児虐待に関しては山田マンさんがソロで書いてますが、あれは実体験というか見た事があるのですか?

山田マン「見た事は無い。僕、子供がいないから分からないじゃないですか。けど妹に子供が出来たり、嫁の兄貴が子供生まれたりして、子供がだんだん身近な感じになってきたら、新聞とか見ると何かまずいんじゃないかと。それでそれを煽るんじゃなくて、何かやりたいなって。知らないことだからインターネットでも調べたし、新聞の記事とか切り抜いたりして読んでいると、虐待をする側の気持ちも分からない事もないんですよね。それぞれの事件には背景があって、いっぱいいっぱいになってはじけちゃう」

―― 逆に皆さん自身、そういう体験を受けてきた経験は無いのですか?

山田マン「受けてきたというのは、皆受けてるんじゃない? 親の顔とか見ると怖かったじゃないですか。うちだって、『トモノリ!! 何やってんのぉ!!』って怒られていたし(笑)」

Q「いわゆる躾の為のものでしょ。だから方向だよね。躾の為にしっかりやっているのと、憎んでやっているのは違うから。例えば厳しい昔ながらの雷親父みたいなのがいたらさ、もしかしたら誰かから見れば虐待って思われるかもしれないけどさ、厳しい親父とか全然良いと思う。憎むという事とは違うから」

山田マン「はっきり言って幼児虐待とかだって、歌いたいわけじゃなくて、もう歌わないと仕方がないから。ライヴで歌ってもハッピーになれる曲でも何でもないし」

―― ライヴでハッピーになれないと分かっていながらも、やらなくてはならない使命感とは?

Q「使命感じゃなくて、リアリティーだよ。聴けば分かるような作りになっていると思う」

―― なるほど。皆さんの胸のうちは十分、分かりました。ここからはアルバム『日本改造計画』の中身について聞いていきたいと思います。まずライブでもお馴染みの春一番さんが参加していますが、彼とはどういう出会いがあったのですか?

Q「うちの前のコンビニに居たんですよ。それで『あれっ? もしかして春さん?』って言ったら『ハイ。』って。それで『写真撮って良いですか?』って写真撮りまして、『自分も猪木さん好きなんですよ』って言ったら、『いきますか?』っていって、張られまして(猪木ビンタされた)、『ありがとうございました』って。そこからですね。普段そんなに会っているわけじゃないけどね」

―― へぇぇぇ。面白い。あと、シングルで出ている「IT's A Show Time」で『残すな後悔』という言葉がありますよが、皆さんにとっての「後悔」とは何でしょう?

Q「今その時、その場所、その所で出来ることをやれば、後悔という形ではないですよね。それがブースに入ってラップしている瞬間も「これは一回しかないんだ」と思ってやっているし。どうせだったら、バッターボックス入ったらホームランのほうが良いんじゃないかって」

――  あと、社会派な「環境と産業」はどういうところから浮かんだ曲なのですか?

Q「今の世の中、曲がった快楽のやり方が多いじゃないですか。それが複雑に絡み合っているところだから、一人の力ではどうしようもない問題だし、問題提起に近い感じ。これを聴いて、人並みに考えれば良いし、全員がちょっと何かをやったら、大分世の中変わると思う。難しい問題だからね、敢えて何通りにも取れるような表現にはしたんだけど」

山田マン「住んでいるマンションで、毎年毎年一年に一回、一ヶ月間ゴミ当番があるんですよ。それなんかヒドイですよ。皆それくらいやれよ! って感じですよ。分別しろよ! 関係ないときに出しやがって・・・って」

―― そういう社会派なものもありながら、「One Night Love」のような恋愛ものもありますよね。これはかなりリアルですよね。

山田マン「またこれはクラブとかそういうところでのラブ・ストーリーじゃないですか。これを学校に置き換えたらハイスクール・ラブだし。恋はした方が良いですよ。好きな子いると、カッコ良くなるし、楽しいし。振られると又野郎ばっかでつるんじゃって『振られるのヤダな』とか思っちゃうけど(笑)」

―― もうこのアルバムは登校拒否になりがちな子に聞いて欲しいですよね。PTA推薦盤にならないかな?

Q「そうだね、そういう動きもしたいし、なるべきだよ」

山田マン「俺等としても一曲一曲一生懸命頑張ってやってるんで、そういう評価を受けられたら嬉しいですよね」

Album「日本改造計画」ビクターエンタテイメント/走馬党エンタテイメント\2,600- (tax out)2001.07.18 Release

●INTERVIEW/柾虎

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