「っていうか、(ヒップホップの)ソウルを得る方法が2つあるってことさ…それをクソ正直に生きてみるか、じゃなかったらダウンロードするんだよ」
…EL-P from Comapany Flowこれはインターネット上にいる人々への攻撃ではなく、ヴィデオ・クリップを彼らが持っているという理由で(!)、Company Flowをワック呼ばわりする連中に対して、″俺は弁護する気はさらさらないね″ということだ。つまり、ヒップホップの定義は実際にその言葉が誕生してからも刻々と変化してきた。言葉は生きているし、アートフォームは勿論だ。ユウザロック★は長野から東京に出てきた頃、KRS1やBDPに影響されたその初期、ジャズ・ファンク・バンドとセッションをローカルなクラブでコラボレーションをしていた時期、雷が急襲し、日本中のBボーイがハードコアであるかのように振る舞った時期、「さんぴんCAMP」、エレクトロファンクを今に伝えようとした実験…そこに共通していることがある。彼のラップと彼がいつだってヒップホップを生きようとしてきたことだ。
「今回のアルバムでは俺はもう人間じゃない。機械なんだ。バム星っていう星があって、そこからヒップホップ・ウィルスが降りてくる。降りてきて、タケマエ・ユウっていうたまたま猿みたいな人間にウィルスが感染して、地球を救う…ファンクなんだ。そのために俺は機械、ラップ・マシーン。ラップをするための状態…世紀末にアルバム作るってことは、日本語ラップの楽しい部分…宴会部長。ネガティヴな部分はいい」
こう言うユウザロック★のアルバムがとうとう完成したのだ。それまでのことを彼はこう振り返る。
「エレクトロは自分のヒップホップの原点に帰るために大切なものだった。去年一過性のあのブームは…なんだろう…懐メロでしょう。オニャンコClubと同じ感覚。そのぐらい俺にとって大事(きっぱり)。とんねるずとオニャンコClubとエレクトロは、並んでる。とんねるずは初期。今は全然駄目。初期の、″オールナイトフジ″出る瞬間とか、深夜やっていたドラマとか、ルーツで懐メロ」
じゃあ、オニャンコは?
「オニャンコは青春のバックボーン。誰が好きだったかって? 新田ちゃん。その前はナカジ。最終的に永田るりるり行くんだけど、その前にふっくんで…消滅(この後省略)」
そして、彼は今年をこう見据えた。
「オールド・スクール回帰みたいなこと…俺が去年提示したことを今キレイに出来ている人もいる。今度のアルバムでも、こてこてのマイアミもやってみたけど、今ドラゴンアッシュとか色々出てきているじゃない? ノリエガみたいなヒップホップもあって、だけど、一般人にヒップホップっていうのはこんな感じですよって聞かせるのは、マイアミしかないと思った。グランドマスター・フラッシュが言ってたように、″Good Times″2枚使いが良いんだよみたいに、誰もが盛り上がれるってこと。パーティ・ソング。マイアミのやつはね。日本語ラップの一番いけないところは、一見さんお断りみたいなところ。俺はやっぱり、ヴェルファーレみたいなところでも″Duck Rock Fever″でもなんでもプレイされて盛り上がればヒップホップ、そこに生まれると思うし、でも踊っている人は、やっぱりHave Funしている筈だし…Bボーイ論争(Bボーイの定義について)とかあったけど、魚屋のアンちゃんでもトラックの運転手でも、アパレルの姉ちゃんでも何でも良いけど、自分がBボーイだと思っている意識があれば、Bボーイだっていうか。ブレイカーじゃなくても、MCじゃなくても、DJじゃなくても、ヒップホッパーはヒップホッパーで変わりはない、俺はそう思っているし、そう思わないと思うし、実際は。でも、KRS1が言っているように、毎日毎日俺はヒップホップを生み出すだろうかだとか、ヒップホッパーだろうかっていう意識も上がってきてて、そういう自分も好きだし」
多彩なゲストを迎えている。
「″Guess Who's Back″はスキットだけど、″No Joke Talks″は6年ぐらい前からあった曲で、″サウンドトラック″の頃から…で、その曲は絶対マーヤンをフィーチャーしようって決めてて、で、サブタイトルの″目黒川″っていうのもその時から決まってて、歯に衣着せずに言い合えるような、男同士、男っぽい曲にしようって。マーヤン、デヴ・ラージ。鉄板で。今回のゲストの目玉の一つはマーヤンとボーイ・ケン。格好良いのを聞かせたかった。で、あんな普段から格好いい人いないね。俺は右翼でも左翼でもないけど、やはり日本人だから、愛国心っていうと誤解されるけど、やっぱりこの国で生きているから、この国で頑張りたい。″Professional Entertai-ner″はデヴ・ラージ・ヴァージョンと、NIPPSヴァージョンとあって…NIPPSっていうのは、ラッパーとして俺が一番好きなラッパー。NIPPS1位で、2位がANIで、3位が俺。それ以外にはいない。NIPPSとANIと、それぐらいしかいないですね。本当に、本当にANIにも影響受けているし、ラップの仕方とかにも影響受けているし。日本語を…こう、ちょっと変えるっていうか。凄くロックしている」
このアルバムの一つの目標はやはり未来である。
「一番聞いて貰いたいのは、やはり中学生ですね。マイケル・ジャクソンじゃないけど、子供達にやはり未来があるから、一番大事にしていたことがあって…昔生活していた部屋ってたいしたことがなかったでしょう?…だけど、レコード買ってきて、聞くと、その部屋の空気が、″やべーんじゃねーか?″って思ったことない? 俺、これを聞いてて、再生されたこれを聞いていて、俺はこの後どうなっちゃうんだろうって思う…何にも本当はならないんだけど、もう完璧トランス入るっていうか、あったじゃん? あの、ドキドキ感。色々な音楽聞いていたけど、俺はそういう音楽を作りたいって。プレイ・ボタンを押した時点でね、初期衝動みたいのがね。あと、地域を限定しなかった。″Back City Bluese″以降変わったのが、やっぱり森の中とか、自然の中でも聞けるヒップホップ。東京限定じゃない。あぜ道…山が横にあって、通学するときそれを見ながら聞いたりとか、そういう人もいるだろうし、そういう時聞いて貰ったりしたらどうかなって。東京だけじゃない」
「それよりANI(from SDP)が持っているヒップホップ感、千葉君(Motocompo Head)の宇宙感とか、俺はそういう人達が回りにいて幸せだなっていうか、でも、同時に、ヴェルファーレでもハーレムでも踊れる対応にしたっていうか、ヴェルファーレではサラリーマンも踊るんだけど、ハーレムではヘッズも踊るって。出来るだけ、色々な他ジャンルの人にも聞いて貰いたい。お喋り…それこそラッピングの楽しさっていうか。言葉はいつでもメモを持って、新しい言葉を書き留めている(と、新しい曲から一節やってくれる)全部、こう作っていって。言葉はやっぱり、(スチャダラパーの)『FUN-KEY LP』に影響を受けた。(このアルバムも)FUN-KEYなアルバムになっていると思うよ」