前作『Suiken Presents Sixteen Stars』から丁度1年。2ndアルバム『Score』は、先行シングル「DUB」「未知」で感じさせてくれた“ヤバイことになっている”という予感が見事に的中した傑作だ。進化し続けるSuikenの現在の形が濃密に詰まっている。
お・お・お・お・お・お・お!今、オレはスイケン(あのニトロ・マイクロフォン・アンダーグラウンドの…なんて説明はいらないよな)の2ndアルバム『Score』を聴いてるんだが…おいおい、こりゃマジでスゲエことになってんぞ!! スイケンの声が/ビートが、ウネってウネってウネってウネりまくって身体を飲み込み、脳に突き刺さる。アタマ真っ白。うーん、こりゃ冷静じゃいらんねえぜ。1stアルバム『Suiken Presents Sixteen Stars』が傑作だった事は間違いないし、オレもあのアルバムは大好きだったが、今回は明らかにアレ以上のブツだ。しかも相当に異常なぐらい以上だ。
しかし、どこがどう良くなってんのか、どこがどう進化してんのか、それを具体的に説明すんのは非常に難しいんだな。簡単には意味のワカりづらいスイケン独特の言語群、勝手気ままな自由奔放フロウ、変態趣味強いトラック…。基本的な指向性、スイケンの本質には勿論変化はない。ただ、聴こえ方が、そして届き方が圧倒的に違うのだ。
ワカるヒトにはワカったことだと思うが、2枚の先行シングル「DUB」「未知/道2」からもその微妙な変化は読み取れた。リスナーとの距離感が物凄く近くなったとでも言うか…(「道2」なんてオレは聴いてて泣きそうになっちまったよ)。その変化が確実で、しかも頑強なモノだったことをこの2ndアルバムは証明してる。
多分、この変化の一番の要因はスイケンの精神的・内部的なモノだろう。他人の精神的な部分を想像であーだこーだ言うのは気が引けるが、恐らくスイケンは今迄以上に真摯にリスナーと向き合い、言葉・ヴァイブを彼らの居る場所にまで届けよう、という気持ちになったんじゃないだろうか。
ある意味、今迄のスイケンには必要以上の理解を拒絶してるかの様な雰囲気があった様に思う。勿論、そんなゴーマンな唯我独尊ブリも彼の魅力だったとは思うが、『Score』でのスイケンにはそういった拒絶感が殆ど感じられないんだよな。リリックは相変わらずそのまんまじゃ意味がワカり辛かったりする部分も多いから、字ズラだけ追っかけてる様なアタマ堅いヒトは煙に巻かれちまうかもしんないけど、そこから届いてくる“何か”は、明らかに以前より太く濃く熱く身体に染み渡るのだ。
届けたい、という気持ちは、当然、声の出し方や聴かせ方、音への乗せ方にも大きく反映されている(と言うか、そこをクリアしてこそ“届く”モノが出来るんだと思うが)。オレ個人的には、絶妙過ぎる“間”のコントロールぶりや、感覚的だが圧倒的に音楽的な声の重ね方にヤられまくってて(ミックスの良さも鳥肌モンだ。車で爆音で聴くと死ぬ)、そこにスイケンの音楽家としての進化を感じまくって感動してます。
最後になったが、参加プロデューサーもみんな素晴らしい仕事っぷりだ。特にDJトシキ・ダ・ハードバップ! 彼の創り出す余りにオリジナルであまりに人間臭いビートの数々にはマジ感服致しました。
とにかく、聴け! 感じろ! スイケンが届ける“何か”は自分で感じるしかないぜ。