キエるマキュウ - マネーメリーゴーランド/ON LINE RIDDIMより

東京アンダーグラウンドきってのヘヴィ・ドランカー、Maki TheMagicとCQによるキエるマキュウがセカンド・アルバム『マネーメリーゴーランド』をドロップ。前作以上に異様なくらい二人の息がぴったりあってしまったドス黒い快作だ!

深夜の大東京泥酔人間交差点で出会い深まってしまったんであろう2人のヒップホップ浮浪者。

ブッダ・ブランドでも活躍する異能過ぎるMC=CQと、長年に渡ってクラブの床を汗と笑いとゲロと涙と愛で濡らし続けて来たヴェテランDJ=Magic。神も予想だにしなかったに違いないこの2つの魂の融合体がキエるマキュウだ。

この度彼らは遂にセカンド・アルバムを発表しちまったんだが、これがトテつもない大怪作にしてファーストすら超える超大傑作なのよ。うーん、凄い。ホントに凄い。彼ら音楽が放つトンデモないキッカイさは……いやいや、悪いがオレには言葉じゃその何分の一も言い表せそうにない。仕事なんだからそこを何とか言い表そうとさっきからウンウン唸ってんだが、こりゃどうにもこうにも手と目に余る。

彼らの言葉と音楽は、Aだと言おうとするとBに見えて来るし、Bだと言おうとするとSやEやXに思えてくる。別に言葉にしようとしないで、ただ単純に聴いててもそうだ。ガハガハ笑ってる真っ最中に急にマジな思いに駆られたり、かと言ってマジな顔して聞いてると急に激クッダラない気分に襲われたり。メロウに浸ってると下劣極まりない言葉ひとつでそれを破壊されたり、“CQとMagicのラップはお世辞にもウマいとは言えねえけどさ…”なんて言ってると、“いや、これは実は超絶にスキルフルなんじゃないだろうか?”と思えて来たり。

キエるマキュウは確実にそこに居る。そこに居て強烈なヴァイブをプンプン巻き散らかしてる。だけど、姿を捕らえようとするとフッと消えちまう。そして、その狭間から見え隠れする真実(なのか?)。…と、ここまで書いてきて本気で今気付いた。そういや彼らは消える魔球なのだ。忍者なのだ。そこに居るのにみんなには見えない。みんなには見えないのにそこに居る。そこには居ないのに姿は見える。姿は見えるのにそこには居ない。それが当たり前じゃないか。

いやあ、やっぱヤツらは実に頭の切れる確信犯だなあ…なんて感心してるとまた煙に巻かれちまうんで辞めとくが、ひとつだけ確かなコトがある。それは、彼らが世界でも類を見ない素晴らしいヒップホップ・ミュージックをやってるってコトだ。ここが最大のポイント。

キエるマキュウは、ナンだかよくワカらんが確実に音楽の素晴らしさを、ヒップホップの素晴らしさを骨の髄まで感じさせてくれるのだ。是非とも聴いてみてチョンマゲ。壮絶に好き嫌いは分れるかもしんないが、たまには自分の価値観をブチ壊すようなブツに触れてみるのも一興だろう。

ま、オレ個人的には“キエるマキュウ、いいよねー”と言い合える世の中になればいいなあ、と思ってるけどね。ドロン!

もどる / トップ